よくもまぁ、こう毎日のように、飽きずに球を突けるものだなと、私は感心させしてしまう。
特に趣味があるわけじゃなく、だから何かにのめり込んだような経験のない私には、まるで理解できない。
だからって、やっぱり私は、ビリヤードをしてみようかという気にはならないのだけれど。
飲んで、騒いで、私以外のみんなは、すっかり酔っ払いになった頃、
「なぁ、マリア。ちょっとコンビニ行って、煙草買ってきてくんねぇ?」
「えー?」
ついには私はパシリにされるのかと、不貞腐れて見せたのに、
「あ、じゃあ、俺も。マルメンよろしくー」
「俺、セブンスター」
「ラッキーストライクもお願いね」
まったく、こいつらは。
嫌だとも言わせてくれず、私は「はいはい」と言って、しぶしぶ席を立った。
ひとり店を出て、酒で火照った頬を冷やす。
コンビニはすぐそこだった。
夜光虫が集まるような街の、さらに中心街。
言われた通り、煙草を4種類買い、コンビニを出たところで、声を掛けられた。
「何してんのー?」
ナンパだった。
私はあからさまに嫌な顔をして舌打ちをする。
無視して足を踏み出したのに、「どしたー?」と、ナンパ男のツレらしき男が、さらにふたり寄ってきて、私の前を塞いだ。
「邪魔なんだけど。どいてくんない?」
「あ?」
「うざいし。っていうか、カレシが待ってるから」


