その日もいつものように、適当に街で買い物をして、夜になったのでコウと合流してご飯に行った。
それから、コウの携帯に電話が入り、カイくんから呼び出されたらしく、ふたりでショットバーへ。
騒がしいばかりの連中にも、少し慣れ始めた頃だった。
「マリアちゃん、ビリヤードしないの?」
カイくんからの問いに、私じゃなくコウが答えた。
「パンツ見えるからしなくていい」
「出たよ、ラブラブ発言」
「あ?」
「コウに聞いてねぇっての。俺はさぁ、マリアちゃんがつまんないんじゃないかなぁ、と思ったから言ってるわけで」
「つまんねぇならカイが腹踊りでもしろっつーの」
「はぁ?!」
で、ふたりは言い争う。
私は、うるさいなぁ、と口を尖らせる。
「ねぇ、あのふたりってずっとああなの?」
めんどくさくなって、隣にいたダボくんに聞いた。
ダボくんは困ったように眉尻を下げながら、
「昔からだよ。ふたりして、沸点が低いから。喧嘩友達っていうか、悪友っていうか。俺らも、何であれで仲いいのか謎だもんね」
「ふうん」
「一年くらい前は、何でだか、一時期、口もきかないくらいになってたけど。それからまた、何があったのかは知らないけど、気付いたらこんな感じに戻ってた」
傍観していたら、さすがに見兼ねたらしいユキチくんが仲裁していた。
男の友情ってもんは、女の私にはよくわからない。
確かに慣れた、けれど私はこの輪の中に、馴染みきれないでいた。


