「………」

「って、驚かないんだ?」

「ごめんね。何となくは、ダボくんの気持ちに気付いてた。うぬぼれっぽいし、確信はなかったけど」


ダボくんは笑った。

笑いながら、また「そっか」と言って、煙草を取り出し火をつける。



「コウにはバレバレだったみたいだし、難しいね、見守るだけっていうのも。自分のことになると上手く立ち振る舞えないんだもん」


カラスが一羽、羽音を響かせて私たちの真上を横切った。


カラスは死人の魂を宿して生きていると聞いたことがある。

だとするなら、やっぱりコウは私たちのすぐ傍にいてくれているのだろう。



「ほんと、何か困ったことあったら、いつでも言ってよ。力になるし」

「下心は?」

「ないよ。これは正直な気持ち。ユキチだってそう思ってるみたいだし。あいつは贖罪みたいなのもあるんだろうけど、たとえ死んだって、コウは俺らの親友だもん。親友の子は、自分の子と同じさ」


私は素直に「ありがとう」と言った。

ダボくんは煙を吐き出し、少し言いづらそうに私に目をやる。



「カイのことだけど」

「うん」

「あいつはきっと、極刑になると思う。情状酌量の余地があったとしても、あれだけのことをしたんだもん。しでかした罪は重すぎる」


私は何も言えなかった。



「カイはあれ以来、取り調べでも何も話してないってさ。っていうか、心が壊れちゃったみたいに、会話にならないんだって。警察も手を焼いてるらしい」

「詳しいんだね」

「ユキチの親父さん、刑事なんだって。俺もこんなことになって初めて知ったけど。それでまぁ、色々と」

「へぇ」

「ユキチの正義感は親父さん譲りかもね。よくも悪くもだけどさ」


確かにユキチくんが余計なことをしなければ、防げたこともあったかもしれない。

けど、でも、ユキチくんはユキチくんなりに、カイくんを思って行動したのだ。


私はそれを責められない。