「駅でいきなり『別れる』って言われた時は、頭に血がのぼって腹が立って、何も考えなかった」

「………」

「けど、あとで思い返してみたら、よくわかんないことだからけだ。あの日、お前が俺に言った『自分の胸に手を当てて聞いてみたら?』ってどういう意味だ?」

「ほんとにわかってないの?」


絶句した。

まさか本当に、私にあんなことをしておいて、1ミリの悪気もないだなんて。


どうあっても私の口から言わせたいのであれば、もう言ってやろうと思った。



「私のことを他の人間にマワさせておいて、よくそんな風に言えるわよね」

「……え?」

「何? 今度は覚えてないとでも言うつもり?」

「……ちょ、待てよ……」

「コウ、カイくんに言ったんでしょ? 『折角カイが帰ってきたんだし、楽しめよ』、『俺は遅くなるから、その間、みんなでマリアをヤレばいい』って」

「おい……」

「『コウとの合意の上』だって、カイくん言ってた! 殴られた! 怖かった! 怖くて怖くて、何もできなかった! 我慢するしかなかった! 全部コウが悪いんじゃない!」

「待てよ、マリア」

「でも、昔のコウにとってはレイプなんて普通のことなんでしょ? そりゃあ、罪悪感なんてないよね。しかも仕事でストレス溜まって、陰で愚痴ってたって――」

「ちょっと待て!」


コウは大声で私を制した。

私はびくりと肩を上げる。


コウは戸惑う瞳を揺らしながら、



「……カイが、マリアをヤッた?」


困惑しながら言う顔に、私は怒りが込み上げてくる。



「正確に言うと、カイくんは見てただけだけどね。私をマワしたのは、あの後輩たちだよ。でも、それはコウが言い出したからでしょ。誰だって同じじゃない」

「嘘だろ……」

「はぁ?」

「俺がそんなこと言うはずねぇだろ! カイに『ちゃんとマリアのこと送ってってくれ』って頼んだだけだ! 何で俺がそんなこと言うんだよ!」

「……え?」