辺りは静けさの帳に包まれていた。

だから私の中に、コウの言葉が反響した。



「やめて、聞きたくない!」


私は振り払うように耳を塞いだのに、



「お前のことが好きなんだよ。他の誰でもない、マリアじゃなきゃダメだから」

「……そん、なの……」

「マリア以外いらない。お前とじゃなきゃ何の意味もない。別れてわかったんだ。テツ先輩のことが好きなままでもいいから、俺はお前といたい」


コウの瞳は真っ直ぐに私を見据えている。

私は唇を噛み締めた。



「信じなくてもいい。だけど俺の気持ちは変わんねぇよ」

「聞きたくないって言ってるじゃない!」


私は金切り声を上げた。



「何で私がコウと別れたかわかんないの?! まさか、私がてっちゃんと戻るためにコウと別れたとでも思ってるんじゃないでしょ?!」

「………」

「私にあんなことしておいて、どうして今度は助けるの?! 肝心な時に傍にいなかったくせに、今更何なのよ!」

「……マリア?」


コウは不安そうに瞳を揺らし、私の方に手を伸ばす。

でも私は、再びそれを振り払い、



「私がどれだけ苦しんだかわかんないくせに!」


叫んで、私は肩で息をする。

コウは眉根を寄せた。



「お前が何言ってんのか、わかんない」


本気で言っているんだとしたら、ありえない。