「わあ…、綺麗な夕日っ!」
二人で校舎を出ると、オレンジ色に輝く夕日が空を染めていた。
「…………。」
光琉は夕日に対して特に関心を示すことなく、私の手を引いて歩いて行く。
一言でもいいから、何か反応ぐらいしなさいよ…。
もしや、照れてるところを指摘したことで、今度は本当に怒っちゃったのかな…。
何も怒ることないのに…。
沈黙している光琉に苦笑した時、私のお腹がグウ…と小さく鳴った。
うっ、恥ずかしい…。
実は…勉強している時から少しお腹が空いてきてたんだよね…。
鳴らないように気を張ってたつもりだったんだけど、ついに鳴っちゃったか…。
でもまあ、音は小さかったし…光琉の耳には届いていないはず。
お腹をササッと撫でて、何食わぬ顔で歩いていると、不意に光琉が私の方に視線を向けた。
「紗姫、腹減ったのか?」
「えっ!?」
「今の“グウ…”って音、お前だろ?」


