「何、笑ってんだよ。」
私の笑った声が聞こえていたようで、光琉が不機嫌そうに振り向く。
顔は、まだ心なしか赤い。
「だって、光琉…照れてるみたいだから。」
「照れてなんかいねぇよ。」
「うそっ、どう見たって照れてるでしょ!」
「照れてねぇ。紗姫、勉強終わったんだから、帰るぞ。」
「えっ、う…うん。」
急いでバッグにテキストやノートをしまうと、すぐに光琉に手を握られる。
そして、私たちは慌ただしく部屋から出た。
全く、強情なんだから。
誰が見ても、明らかに照れてるわよ…。
ムスッとした光琉の横顔を見ながら、また笑みが零れてしまった。
光琉から“面白いヤツ”って言われたけど…
私に言わせれば、光琉の方が…よっぽど面白いヤツだよ。
だって、クールで無愛想な人だと思いきや、他にも色んな表情…隠し持ってたんだから。


