王子様の危険な恋愛領域


何よ…。


そんな言い方じゃ、お礼になってねぇよ…とでも言いたいのかしら。


もう一度、きちんと言い直した方がいいのかどうか迷っていると、光琉はクシャクシャと頭を掻いた。


「ったく、わざわざ礼なんて言うんじゃねぇよ。俺が勝手に勉強に付き合っただけなんだから。」


「へ…?」


「また、勉強で何か分からねぇことあったら、遠慮なく聞け。」


「う、うん…。」


あれ?


怒ってるんじゃなくて、もしかして…照れてる?


ジーッと光琉を見ると、私の視線に気付いたのか、背を向けてしまった。


その瞬間、光琉の顔が少し赤くなっているのが見えて…


やっぱり照れてるんだ…と確信した私は、クスッと笑ってしまった。


へぇ…。


そんな風に、人間味溢れる表情になったりもするんだ…。