うわっ、光琉!!


驚いて体が仰け反る。


後退りしようとしたけれど、腕を掴まれて引き寄せられた。


「もしかして、俺を置いて早く帰ろう…とでも思った?」


「…………。」


鋭い指摘。


ジロリと睨まれ肩をすくめた。


「ったく、紗姫は俺の女っていう自覚が足りねぇな。」


それはつまり、彼女のフリをしてる自覚が足りない…ということなんだろうか。


「す、すみません…。」


謝るなんて不服だけど、今後のことを考えると、こうしておいた方がいい。


大きな波風は立てないようにしなくちゃ…。


「まあ、いいや。一緒に帰るぞ。」


や、やっぱりそうきたか…。


教室や廊下にいる女の子たちからキャーキャーと悲鳴があがる中、光琉は私の手を握って歩き始めた。