「こうなったら、紗姫が嫌がってること、俺が無愛想王子にキツく言ってやるよ…。」


「ううん、私なら本当に大丈夫だから、そんなに心配しないで?」


「だけど……」


「色々と事情があって、今は何も言えないんだけど、暫くの辛抱だし平気だよ。ありがとう。」


ニコッと笑顔を返した。


そう、とりあえず我慢…。


彼女のフリを頑張って演じることが、平和な日常に戻るための一歩なんだから…。


「…分かった。紗姫がそう言うなら、俺…アイツには何も言わないでおく。ただし、アイツ絡みで困ったこととか辛いことがあった時は、ちゃんと言えよ?」


「うん…!」


詳しい事情が言えない私のことを察して、温かい言葉を掛けてくれる。


本当、淳也は優しい…。


淳也が幼なじみで良かった…。


そう実感していた時、急に教室の女の子たちが“キャーッ!!”と一斉に歓声をあげた。