「えっ、また!?最近、紗姫って、王子と登校時間が重なること多いよね!」


「うん……。」


高2になってから、私は皆辻君の登校時間帯とカブることが、ちょくちょくある。


あの騒がしい光景を何度も見てるだけに、さっきもウンザリしてしまった。


「いいなぁ…羨ましいっ!紗姫ってば運が良すぎだよ〜!」


「不運の間違いでしょ…。」


出来ることなら、毎朝…皆辻君に会うことなく、静かに登校したいもん…。


「紗姫は、本当に王子に興味が無いんだね…。」


「うん。全く興味ないや…。」


コクンと頷く私に、亜弓ちゃんは、しゅんとしている。


な、なんだか…素っ気なく言い過ぎちゃったかな…。


反省していると…




「そりゃ、紗姫が無愛想王子の皆辻なんかに興味持つなんて、有り得ねぇだろ。」


聞こえてきた声に反応して、視線を隣の席に向ける。


すると、ガタンッと音を立てて席に座る、橘 淳也(タチバナ ジュンヤ)が目に映った。