いきなり“家まで送る”だなんて言うから、ビックリした…。


でも、驚いたのは…それだけじゃない。


さっきの皆辻君、よく喋ってたし、少しだけど笑顔だって見せてた…。


あれは…素顔?
それとも…裏の顔?


「…………。」


うーん…。
全然、分からないや…。


どっちにしても、明日から皆辻君の彼女を演じないといけないことに変わりないもんね…。


化学室へと急ぐ中、私は盛大に溜め息を零した。


あんな理不尽な契約をすることになるとは、思わなかったな…。


最悪すぎる…。


でも、この苦境を乗り越えた先には、明るい未来が待ってるはずよね…!


ウンウンと力強く頷いた。


まあ、彼女のフリ…なんだから、気楽に構えていよう…。


皆辻君のことだから、私と一緒に居る時間なんて、殆ど作らない気がする。


なんだかんだ言って、さっきの避難部屋で一人で休み時間とかお昼休みも過ごしそうだし…。


ちょっと日にちが経てば、意外にあっさりと契約終了して発言の撤回もしてくれるかも…。


淡い期待を膨らませる私。


でも、その考えは甘かった…と、翌日…思い知ることになる。