王子様の危険な恋愛領域


「ちょ、ちょっと!勝手に却下しないでよ!」


「勝手も何も、紗姫に拒否権は無い。何度も言わせんな。」


低い声が部屋に響く。


不機嫌な表情をしている皆辻君に、ポツリと呟いた。


「そんなの、納得いかない…。どうして、私が…こんな目に遭わなくちゃいけないのよ…。」


しばし流れる沈黙。


重苦しい空気に溜め息を零した、その時だった。




「紗姫のことが、気になるからに決まってんだろ。」


「えっ…」


「昨日から、お前のこと…ずっと考えてばかりで、頭から離れねぇんだよ。」


荒々しい口調の皆辻君。


言い終えた途端、なぜか私からフイッと視線を逸らしてしまった。