「なあ、慶吾。俺…コイツと話があるから、今日も奥の部屋…使わせてもらうぜ?」
「はいはい、どうぞ。鍵は開いてるから。」
「いつも悪いな。」
皆辻君は私の腕を引いて、二つある簡易ベッドの横を通り過ぎ、奥のドアの前へと移動した。
「それにしても、光琉が女の子を連れて、ここに来るの…初めてだよな。どういう心境の変化?」
「……………。」
「もしかして、その子に…」
「そんなの、慶吾に関係ねぇだろ。」
低い声でキッパリと言い放った皆辻君。
その瞬間、瞬きを繰り返して驚いた篠田先生だけど、すぐにニコニコとした笑顔に変わる。
「ごゆっくり。」
ヒラヒラと手を振る先生を冷ややかに見た皆辻君は、ドアを開けて私を中に入れた。


