王子様の危険な恋愛領域


「具合でも悪いの…?」


「いや、別に。」


一応、心配になって聞いてみたけど、素っ気ない言葉が返ってきた。


じゃあ、なんでここに来たのよ…。


ますます疑問が募る。


ハテナマークを浮かべていると、皆辻君はガラッと保健室の扉を開けて、中に入った。


夕日の差し込む保健室。


消毒薬の匂いが鼻を掠める。


デスクに向かって仕事をしていた保健室の先生が、私たちに気付いて視線を向けた。


黒ぶちの少し厚い眼鏡、短髪の黒髪、清潔感ある白衣。


今まで、大人しい男の先生だな…って印象を抱いていたんだけど…


「おっ、光琉じゃないか!」


「よっ。」


軽快な声で皆辻君の名前を呼ぶ先生に拍子抜けしてしまった。