王子様の危険な恋愛領域


「うるせぇな。静かに歩けねぇのかよ。」


「なっ……」


なんなのよ、コイツ!


話がある…って強引に連れ出しておいて、その口の聞き方はないんじゃない?


思わず、カチンときてしまった。


全く…。


どうして私が…こんな目に遭わないといけないのよ…!


話なんて…どうでもいいから、早く家に帰りたい…。


小さな溜め息を漏らした。


そんな私の心情を察することなく、皆辻君は広い校舎の中を、どんどん歩いて行く。


一体、どこに行くつもり…?


不審に思いながら暫く歩いていると、不意に皆辻君は足を止めた。


えっ、なんでここに…?


私は首を傾げる。


なぜなら、辿り着いた場所は…保健室だったからだ。