王子様の危険な恋愛領域


「おい、無愛想王子。勝手に話を進めるなよ。紗姫が嫌がってるじゃねぇか。」


淳也が皆辻君を睨み付ける。


そうよ、そうよ…!


勝手すぎるんですけど!


淳也の言葉に賛同してコクコクと頷いたけど、皆辻君は涼しい顔で淳也を睨み返した。


「アンタには関係ねぇだろ。」


冷たく言い放つと、私の腕を引いて歩きだす。


女の子たちの視線を浴びながら、私は皆辻君によって、強引に教室から連れ出された。


“キャーッ、王子っ!”


廊下にいた女の子たちから一気に歓声が沸き上がる。


そんな声に、皆辻君は鬱陶しい…と言わんばかりに眉をしかめた。


「ちょ、ちょっと!話って何?行くって、どこに?」


「……………。」


沈黙したまま、ズンズンと廊下を進む皆辻君。


「ちょっと!黙ってないで、それぐらい答えなさいよ…。」


不満をぶつけると、皆辻君はジロリと私に視線を向けた。