王子様の危険な恋愛領域


「………光琉っ…」


「……………。」


学校を出て、帰り道。


さっきから、何度か光琉の名前を呼んでいるけれど、その度…沈黙しか返ってこない。


私の手を引いて、ただひたすら黙々と歩いているだけだ。


かなり不機嫌そう…。


ピリピリしているのが、隣を歩いていると…かなり伝わってくる。


屋上にいた時と殆ど変わらない重苦しい雰囲気が漂ってるように思えて…


早く家に着かないかな…と願いながら、歩くスピードを速めた。




「……………。」


「……………。」


結局、その後…お互い何も話さないまま家まで帰って来た私たち。


リビングに入ると、光琉は握っていた私の手を離した。


「……………。」


でも、何も言おうとはしない。


「ねぇ、光琉……」


さすがに沈黙し続けるのもキツくて、再度…声を掛けると、光琉は私をジッと見つめた。


「俺が屋上に行った時、なんでアイツは…紗姫を抱きしめたわけ?」


「えっ…」


「俺が行く前、アイツと何話してた?」


低い声と冷たさを帯びた瞳。


心臓がドクッと嫌な音をたてた。