王子様の危険な恋愛領域

ピンと張り詰めた空気。


淳也は光琉をキツく睨みつけていた。


「相当な自信だな。隙が一切ない…だなんて、無愛想王子の勝手な自惚れじゃねぇの?」


「俺は事実を言ったまでだ。アンタ、今まで紗姫に自分の気持ちを伝えられなかったからって、俺にゴチャゴチャ言うなよ。」


「は?」


「そんなの、紗姫の反応が怖くて言えなかった自分のせいだろうが。」


「……っ…!」


その瞬間、淳也は光琉のワイシャツの胸元をガシッと掴んだ。


ま、まさか…そのまま殴るつもり!?


そう思った私は、慌てて淳也の腕を掴む。


「だっ…ダメだよ!殴るなんて、ダメ…!」


半ば叫ぶような声で必死に止めると、淳也は気まずそうに光琉のワイシャツから手を離した。


「紗姫、行くぞ。」


すかさず、光琉が私の手を引いて歩き出す。


「えっ、あ……」


淳也に声を掛けたい…。


そう思ったけど、いざ…口にしようとしても何を話せばいいのか分からなくて…


唇を噛みしめる淳也の姿を見ながら、私は光琉に連れられて屋上を出た。