王子様の危険な恋愛領域

声の方に視線を向ける。


すると、屋上の入り口に立っている光琉の姿が目に映った。


「……ったく、もう無愛想王子のご登場かよ。タイミング悪過ぎだろ。」


「アンタ、コソコソと紗姫を攫うなんて、いい度胸してるな。」


「俺は、紗姫と話がしたかっただけだ。別にコソコソと攫ったわけじゃない。」


「物は言い様だな。」


キッパリと言い捨てる光琉を睨みつける淳也。


かなり重苦しい空気が漂う。


私は黙って二人のやり取りを見ているしかない。


「っていうか、さっさと紗姫を離せよ。いつまで抱きしめてるつもり?」


「そんなの、いちいち無愛想王子に干渉される筋合い無いんだけど。」


とげとげしい言葉が飛び交う。


険悪な雰囲気に為すすべもなくて俯こうとした
時、光琉が私たちの傍に近付いてくると…


淳也の肩をガシッと掴んだ。