とうとう、行っちゃった…。


お母さんの車を見送り、玄関先まで戻ってくると光琉は私の顔を覗き込んだ。


「あれ?そう言えば、紗姫の妹は?姿が見えないけど、もう学校に行ったのか?」


「ううん…。梨帆、昨日から友達の家に泊まりに行ったの。」


「へぇ、そっか…。ということは、朝から二人きりってことか。」


「う、うん…。」


コクンと頷く。


鼓動が一際大きく波打って、体を震わせた。


お母さんも梨帆も一週間後にならないと、帰って来ない。


それまで、私…光琉と一緒に生活するんだよね。


この日が来るまで、ずっと緊張してたけど、いざ開始となったら、もっと緊張する…。


ふう…と小さく息を漏らすと、耳元に吐息がかかった。


「紗姫、すげぇ緊張してるだろ?」


囁きかける光琉の声に反応して、ビクッと肩が上がる。


咄嗟に光琉の顔を見つめた。


「な、なんで…分かるの?」


「顔、真っ赤だし…手とか少し震えてるから。」


そう言って、私の手を包み込むようにギュッと握った。