王子様の危険な恋愛領域

「ん?」


「えっと、その……」


いざ、『好き』を言葉にしようとした途端…とてつもないドキドキが体を支配していく。


声が上手く出せなくて、たまらず視線を泳がせた。


声が…震えそう。


心臓が口から飛び出してきちゃいそうだよ…。


「紗姫、どうした?」


「あっ、え…えっと……ひゃっ!!」


言い出せず俯こうとする私の頬に、突然…触れた光琉。


たまらず、私は肩をビクッと震わせた。


「さっきから、“あの”とか“えっと”しか言ってねぇじゃん。その続きを聞きたいんだけど。」


「う、うん…。」


言いたいのは山々だけど、ドキドキし過ぎて…それ以外の言葉が出て来ないよ…。


「紗姫、言わないなら…俺がキスさせてもらうけど、いいか?」


「えっ!?」


「さっきのだけじゃ、まだ足りないから。」


顎に手を添えられて、グイッと上を向けさせられる。


今にも唇が触れ合いそうな距離まで近づいた、その時…。


部屋のドアが勢いよく開く音が聞こえた。