「いってぇな……」


皆辻君は顔を歪ませながら、頬を擦る。


鋭い視線がこちらに向けられるけど、ひるんでなんかいられない。


それだけ、私の感情は高ぶっていた。



「いい加減にしてよっ!さっきから、私の主張は無視して、あなただけが勝手に喋ってるじゃない。少しは話をさせてよ!」


静かな廊下に、私の大きな声が響きわたる。


皆辻君のことをキッと睨んだ。


「あなたたちの話、こっそり聞いていたのは謝る…。ごめんなさい…。だけど、聞きたくて聞いてたわけじゃないから…。私、北棟の化学準備室に用事があって来たの。」


「化学準備室…?」


「そう。だけど、あなたたちが渡り廊下の真ん中で深刻な話をしてるから、通ることが出来なくて、話が終わるのを待ってた…。ただ、それだけなのよ!」


「……………。」


強い口調で訴える私を、無言で見ている皆辻君。


まだ、私の怒りは治まらない。