王子様の危険な恋愛領域


「あ、あの…胸の辺りをさすっていたのは、気持ちを落ち着かせようとしてたからなの…。」


「気持ち…?」


少し首を傾げる光琉に、私はコクン…と頷く。


「心臓が…ドキドキして、うるさいから…。」


「えっ…」


「最近、私…おかしいの。光琉と居ると、やけに鼓動が速くなって、不思議なドキドキ感に陥ったり、顔が火照ってるんじゃないかと思うほど熱くなったりする。それに、ふと気付くと…光琉のこと考えてる…っていう時が結構あるし。」


「………。」


「これって、何かの病気…かな?」


「……………。」


雨音が響く土管のトンネル。


光琉は瞬きを繰り返しながら、私を見つめる。


流れる沈黙の時間。


ちょっと、正直に話し過ぎたかな…。


こんな…よく分からない症状を打ち明けられたって、光琉も困るよね…。


適当に誤魔化すべきだったかも…と後悔していると、光琉からフッと笑う声が聞こえてきた。