王子様の危険な恋愛領域


更に勢いを増す雨。


ザーザーと激しい雨音が、トンネルの中にいても、シッカリ聞こえるほどだ。


「通り雨だといいけどな。」


「そうだね。早く止まないかな…。」


トンネルの外を眺める。


暫くは、雨が降っていそうな雰囲気だ。


「…………。」


「…………。」


な、なんか…気まずい。


考えてみれば、こんな狭い空間に二人きりなんてこと…今まで無かったもんね…。


途端に心拍数が上昇していく。


光琉と離れて座っていよう…。


そう思い、モゾモゾと動いて離れた瞬間…。


「きゃっ…」


光琉に腕を掴まれた私は、一気に光琉の傍へと引き寄せられてしまった。


「離れんなよ。」


低い声が耳元で響く。


体が触れ合うほどの近距離に、心臓が跳ね上がった。


「ひ、光琉…。もう少し離れてよ。」


「無理。」


無理なわけないでしょうが…。


こんな態勢、キツすぎる…。


よく分からない“ドキドキ”が体中を駆け巡ってるよ……。