王子様の危険な恋愛領域


「紗姫、あそこに避難するぞ。」


光琉が指差したのは、通り過ぎようとしていた公園。


その中にある、コンクリート製の山型遊具だった。


「あ、あそこ?」


「ああ。トンネルがあるみたいだから…とりあえずその中に入れば濡れないだろ?本当は、この辺に…雨宿り出来そうな店があればいいけど、見当たらないからさ。」


た、確かに…。


駅前なら色んなお店があるけど、今…私たちが居る場所は住宅地。


雨宿り出来るのは、そこしかなさそう…。


「紗姫、急げ。また雨が強くなってきた。」


「う、うん…。」


光琉に促され、足早に公園の山型遊具のところへ向かう。


私たちは、急いで土管で出来たトンネルの中へと身を隠した。