王子様の危険な恋愛領域


「お前、一人で帰ろうと思ってるわけ?」


「えっ、うん…。だって、現地解散でしょ…?」


私の言葉を聞くと、光琉は眉をしかめる。 


そして、盛大に溜め息を零した。


「んな訳ねぇだろ。紗姫を家まで送っていく。」


「えぇっ!?別にいいのに…!」


「ダメだ。家に送るまでがデートなんだからな。俺…少しでも長く、紗姫と一緒に居たいんだよ。」


光琉の眼差しに、なぜか…跳ね上がる心臓。


繋いでいる手から、鼓動が伝わりそうだよ…。


そう考えるだけで、波打つ鼓動のスピードが加速してしまいそうだ。


なんで、こんな風になっちゃうんだろう…。


一生、治らないのかな…この不可思議な症状。


光琉に連れられて歩く間、そんなことばかりが頭の中を占める。


カフェから離れ、私の家へと向かっていると、雨足がだんだん強くなってきた。


「だいぶ、降り方が激しくなってきちまったな。どこかで雨宿りした方がいいかもしれない。」


「うん、そうだね…。」


私の家までは、まだ距離がある。


このまま歩き続けていたら、二人ともずぶ濡れだもんね…。


止むを得ない…。