王子様の危険な恋愛領域

う、うそ…。
黒岩先輩に、そんな一面があるなんて…。


衝撃を受ける私の脳裏に、ふと…光琉が前に言ってたことが蘇ってきた。


“ひどいのは、どっちだよ。先輩、随分…遊んでるみたいじゃん?”


“だったら、勝手な先入観で先輩に肩入れするんじゃねぇよ。”


黒岩先輩に対する言葉と、私に対する言葉。


これを聞いた時は、ハッキリ言って…どうしてそんなこと言うのか、理由が分からなかったけど…


今の優貴君の言葉で、ようやく分かった…。


納得していると、光琉は私の手を引いた。


「優貴、俺たち…もう行くから。もともと駅ビルの方に行くつもりはなかったけど、忠告ありがとな。」


「おう。で、結局…どこに行くんだよ。あ!もしや…例の店?」


「……ああ。じゃあな、優貴。」


えっ、例の店??


何か知っていそうな優貴君に事情を聞きたかったけど、光琉がスタスタと歩き始めたせいで、それも出来ずに終わってしまった。