「あっ、実は…この服、妹のものなんだよね…。このコーディネートも、全部…妹が強引にやちゃって…。」


「ふーん。」


「本当は、私…別の服を着て準備してたんだけど、梨帆が“デートなんだから、もっと気合い入れろ”なんて言ってさ…。私は、“そんなんじゃない”って反論したんだけど、梨帆ってば聞く耳持たずで…。」


あ……。


こんな経緯、光琉にしてみれば…どうでもいいことだよね…。


ついペラペラと喋っちゃった。


黙り込むと、光琉は小さく溜め息を零した。


「……妹の方が、よく分かってるじゃん。」


「へ?」


「今日の出掛ける目的。」


「えっ!?どういう意味…?だって、今日は…球技大会の応援のお礼なんでしょ?」


光琉が自分で、そう言ってたじゃない。


「あのさ、お礼をしたい相手に対して、普通…日曜日に無理やり誘いだしたりするか?」


「だ、だって…光琉は最初から強引なところあったから…。」


“付き合うフリしろ”だの“試合を見に来い”たの、命令口調が多いもん…。


これまでのことを振り返りながら、不満を燻らせていた時だった。



「紗姫と一緒にいる時間が、もっと欲しかったんだよ…。」