よ、良かった…。


黒岩先輩に気付かれなくて…。


私は、ホッと胸を撫で下ろした。


それにしても…


皆辻君が、あんなに冷たい人だったとは…。


付き合ってなかったとはいえ、一応…恋人のフリをしてたわけでしょ?


その先輩に向かって、鬱陶しいとか…うざいとか、言い方が酷すぎる…。


もうちょっと、言葉…選んだ方がいいんじゃないの…?


不満を膨らませていた、その時。





「こんなところで、何やってんの…?」


ハッキリと耳に入ってきた低い声。


おそるおそる声の聞こえてきた方に視線を向けると、そこには無表情の皆辻君が立っていた。