「違うって、何が?」


「えっと……」


キョトンとした顔で首を傾げる梨帆に、口ごもる。


デートも何も、そもそも私と光琉は本当に付き合ってるわけじゃない。


だけど、その根本的な理由を打ち明けたら契約違反なんだよね…。


うぅ…。
説明出来ないのは、もどかしい…。


「お姉ちゃん?」


「あ、いや…光琉と出掛けるけど、別にデートってわけじゃないの。お礼に付き合え…って言われただけで…」


「お礼…?」


「そう。この前の球技大会で、光琉の出場した試合を応援したのよ…。そのお礼がしたいみたい…。」


経緯を話すと、梨帆はニンマリとした笑みを浮かべながら、ウンウン…と頷いた。


「へぇ~。お姉ちゃん、王子様の応援したんだぁ~。ラブラブじゃん。」


「光琉から、試合を見に来るように言われてただけよ…。」


「はいはい、そういうことにしておくね!」


梨帆、私の言ってること…全然信用してない。


紛れもない真実なのに。