「紗姫、本当の本当に大丈夫かよ。」


「だ、大丈夫だってば!」


帰り道。


光琉に手を握られ、ゆっくりと歩く。


さっきから、ずっと私の足を心配して声を掛けてくる光琉。


学校を出てから、この会話のやりとりをしてばかりだ。


「まだ、痛むだろ?」


「痛むけど、平気。歩けるから気にしないで?」


光琉って、意外と心配性なんだな…。


大丈夫なところをアピールしようと、歩く速度を速めた私だったけど……


次の瞬間、右足首に鋭い痛みが走った。


「痛っ……」


バランスを崩して転びそうになる私の体を、光琉が受け止める。


私は、光琉の胸の中にスッポリとおさまってしまった。


「……ったく、大丈夫じゃねぇだろうが。」


溜め息混じりの言葉と共に、ギュッと抱きしめられて頭を撫でられる。


「無理すんなよ。」


低いトーンながらも優しさを帯びた声に、ドキン…と鼓動が波打った。