無垢なヴァンパイア



…普通に空かなかった。


そんな簡単に開いたら逆に可笑しいわよね、うん…


仕切り直し!


カイが鮮やかにピッキングをし、用意は今度こそ整った。


カイが目で合図をする。


私は頷く。


…ガチャ


扉は開かれた。


明かりがついていないので中は暗い。


思ったよりもこじんまりとしている。


カイの後に続いて音を殺して部屋へ入る。


ひやり。


首に冷たさを感じると同時に声が落ちてきた。


「ここに入るってことは事情を知っているってことだよなぁ?」


この状況を楽しんでいることが明らかな声。


リルアは自分の首に鋭く尖った爪を当てている男を見上げた。


真っ赤に濁っている目、鋭く尖った歯。


そこには美しい容姿を持つヴァンパイアの陰はない。


只の異形。


「下手に動くなよぉ?首を掻っ切るからなぁ?」


にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべている。


自分の優位を疑わないのね。