さっきまで一人で待っていた屋上に姫を連れて入る。
細い腕を掴んだまま、姫の方を向く。
早足で来て疲れたのか、肩で息をする彼女。
さっきの告白で照れるのか、それとも暑いからか、頬が赤い。
後者であってほしいと思う俺は、やっぱりおかしすぎる。





「あ、あの……」


「誰?さっきの人」


「え?あ、同じクラスの山田太郎くん……」




山田太郎 ?
平凡な名前のくせに、姫に告ってんじゃねーよ。
それに照れてたこいつもこいつだけど…
あー腹立つ。





「それより、先生は…?」


「ああ、あれ?嘘」


「う、嘘!?」


「あの場から姫を連れ出す言い訳に決まってるじゃん?」





イライラのせいか、どうしても"イケメン王子"の口調にならない。
それどころかどんどん低くなっていって、荒くなる。
やばい、このままだとマジでとまらねえ……