「飾りはあたしがどうにかしてみる。たぶん大丈夫だと思うから。あとばあちゃんにも相談してみるよ、近所の人とか、昔のお祭りを知ってる人たちに協力してくれる人がいるかもだし」


やるって決めたことはわたしなんかよりもずっと確かにやってくれる子だ。紗弥が任せてと言ってくれたことは、全部お願いすることにした。


わたしはまず、たい焼き屋のおじさんとおばさんのところに相談に行った。頼めそうなところがそこしかなくて、まさに頼みの綱、っていう感じで。


「お祭りで、お店を出してもらえませんか?」


本当に無茶なお願いだったんだけど、おじさんもおばさんも二つ返事で引き受けてくれた。


「千世ちゃんのお願いなら断れないから」


おまけに、知り合いの出せそうなお店にも声をかけておいてくれるって言われて。わたしはもうそれだけで嬉しくて泣きそうになった。


どうにか、できることをできる範囲で。

たくさん頭を下げて、走り回って、ときには大人に呆れられたりもしながら、それでもまだ諦めはできないから止まらなかった。


寂しがり屋で人が好きな神様が、最後に人のために何かをしたいと思ったように。

わたしも最後に、性悪でうそつきな神様の、大切な願いをどうしても叶えてあげたくて。