「ニンニクも嫌いだよね」
「……あれは人の食べ物じゃありません」
「あと、金属アレルギーだし」
「クロスのアクセサリーなんかつけたら蕁麻疹が出ます」
そして何より、きみはトマトジュースが好き。
いっそ自分がトマトになってしまいたい、といわんばかりに。
「血の代わりだよ。飲まないと命に関わるからね」
数え上げればたくさん出てくる。きみが、きみである所以。
ずっと一緒にいたのにね。
どうして今まで気づかなかったんだろう。
『いちばん最初は、好きなひとの血がいいんだって』
答えはこんなにも簡単なのに。
どうして私は、気づけなかったんだろう。


