……いやいやそんなことよりも、もっと大事なことがある。
いちばん最初は私がいい、ときみは言った。
じゃあ、その次は?
そのまた次は?
私の血を飲んだ後は、誰の首に噛み付くつもりなの?
「……千歳、私の血、飲みたいなら飲んでいいよ」
「えっ、ほんとう?」
「でもそのかわり」
私以外の女(ひと)の血は、飲まないで。
千歳の頭を抱き寄せて、耳元でそう囁けば。
嬉しそうに頬を染めた彼の小さな唇が、私のそれにぶつかってきた。
「うん、飲まない。俺は、葉月の血しかほしくない」
愛しい愛しい、これがいわゆる独占欲。
噛み付くようなキスを何度も繰り返した後、私の首筋に千歳の牙の切っ先が押し当てられた。
ツプリ、と皮膚を裂いて沈み込んでくる甘い痛みを、全身で受け止める。