「みんな荷物まとめたぁー？」


「はい、大丈夫です！！」


「おう、大丈夫だ！！！」


「こちらも…大丈夫だ」



元気溌剌で皆に呼び掛けたアランに、
スッキリした爽やか笑顔を見せるヒサノと、
何故かテンションの高いレオナと、
明らかに寝起きのスノーリア。








「よぉーし、出発ーー！」



朝っぱらから何故そんなに元気があるのか、アランはリュックを背負ってを駆け出した。だが、



―――ドンッ…！



…女性にぶつかった。


明らかにアランの方が小さいので、ボールのように跳ね返ってしまい、勢いよく地面に尻餅をついた。

閉まっているはずのリュックからいくつかのアランの私物が飛び出す。



「あ、すみません」



アランとぶつかった女性は、少し腰を摩っただけでとくに怪我はない様子だ。

会釈をしてその場を去ろうとしたが、ヒサノを見て目をパチクリと瞬いた。

目の前のヒサノは目をキラキラさせて立ち去ろうとした女性を見上げている。



「き、綺麗な方ですねっ！」



そう女性に言った。

自然と口元と笑みを浮かべて言ったヒサノに、女性は笑窪を作ってニッコリと微笑んだ。


そして、また会釈をし、その豊かな髪を風に靡かせながら音もなく去って行った。









「いてて…、はぁ…びっくりしたぁ…」


「ったく、気をつけろよな！」


「わ、いったーい！そこがいたいんだよ馬鹿ーぁ！」


「…あー、…すまん」



思いの外強く叩いてしまったアランの背中を優しくさすってやるが、
やはりアランはギロリとした目で睨みをきかせてきたのだった。