「しかも、クズだって…一応、国に必要な騎士なんだけどね」



「ああ…ひでぇーな…」



二人は顔を見合わせて頷いた。


これほど息のあった二人は初めてかもしれない。



「しかも、背中におっきなリボンついてるよー!
かわいい!!」



「ああ、小猫みたいだな」



少女を無視して会話を続ける二人。


少女はイライラと足踏みをする。


とうとう、こめかみに青筋が浮き出た。



「…ぅるせえ!!」



少女の怒鳴り声が村中に響き渡った。


カラスがバサバサと音を起てて逃げるように飛んでいく。


喋っていた二人が目を丸くして静まった。



「あんたらエルフだな?」



「あ、ああ…」



少女だとは思えない低い声で二人に投げかけた。


それに二人は怖ず怖ずと頷く。



「あ、弱い方のね…」



「何?!」



フンと鼻で笑う少女に華蓮が素早く反応し、眉をツリ上げる。


いつもは穏和のル・メイも顔をしかめた。



「あんた達、ここが何処だかわかってる?」



少女はニヤニヤと笑む。


元々ツリ目なのがいっそうツリ上がる。



「…何処なんだ?」



「あー、やっぱりわかんないのね」



少女は二人を馬鹿にするように両手をヒラヒラさせた。



「教えてあげよっかぁ?」



悪戯っぽく言い、薄い笑みを浮かべた。



「ここは、リリオの北端にある…『魔女の村』だよ」



「!?」



二人は目を丸くした。


自分達が目指していた場所。


ムンマに蹴られたのは痛かったが、これで早めに任務を終えることができる。



「華蓮ちゃん、やったね!!」



「ああ、これなら香月さん達を探さなくても会えるな!」



二人はさも嬉しそうに跳び上がった。


だが…