そう、レオナが扉を開こうとしたと同時に女二人が勢いよく開いたので頭に扉をヒットさせてしまったようだ。

あまりの痛さに涙腺が緩む。


何故扉を開けたアランじゃなくて自分にあたったのか、と罰当たりなことに女神様を恨んだ。



「え、誰こいつ…」


「マジ邪魔なんだけど、どいてくんね〜?」



すると、頭上から先程の女共の声。

女と思えないような口の悪さに、謝罪の一言も無し。


だが、レオナはそんなことより頭痛最優先、無視を決め込む。


それを見かねてアランが珍しく心配そうに寄り添ってきた。



「レ、レオナ、大丈夫…?」


「…いてぇ」



ふるふると痛みに震える少年を心配そうに覗く子供。


そう無視を決め込んだ二人にを見下ろす女二人組の額に青筋が浮かび、

顔をしかめた………というより、…鬼のような形相に変貌した。


もはや女という生命体に分類したくない。



「無視すんなよ!!」


「マジうざいんだけど〜!!」



謝りもしないうえに暴言を吐くかつての女にアランはとうとうを睨み上げた。


――なんて失礼な奴らなんだ!



「それはこっちのセリフだ!
少しはレオナに謝ったらどうなんだよ!」


「んだとクソガキー!
ふざけんなよ!」



もっともな意見のアランに二人はまたも眉を吊り上げ、夜叉の如くアランを見下ろした。


さすがの強情アランも夜叉のような女という生命体に、顔が今までにないほど引きつる。


だが、ここは男という生命体として負けたくない。



「クソガキじゃないもんね!!
僕は正しいことを言ってるんだ!間違ってなんかない!!」


「生意気なんだよ!殺されてぇの?」



いまだ反抗を続けるアランに、女二人の顔がとうとう…あれだ。


そう…般若だ般若。

クワッと目を見開いて八重歯を見せるその般若に、ここまで頑張ってきたアランも恐ろしくて背筋が凍るような感覚を覚え、

自分の中の危険信号のようなものが鳴り響いた気がした。


恐ろしい。

女って恐ろしい…

子供ながらもアランは女の方程式を導き出した。