「ふん〜♪ふん〜♪」



特に人が賑わうこの時間帯。

わいわいがやがや、

この街は一晩中騒いでいる。

賑やかだ、

実に賑やかだ。


男は酒を飲み明かし、

女は世間話に花を咲かせ、

子供はその周りをパタパタと走り回り、

ご老人はステージで軽やかに舞う踊り娘の女達を見物し、静かに語り合う。


ああ、楽しい。



「ふふーん♪」



酒に酔って昼間からグデグデの男女の間をすりぬけ、

一人の女は鼻歌を歌いながら歩いていた。


そして、一人の男の子とぶつかる。


男の子はドスンと地面に腰を打ち付けた。

男の子にしてはかわいらしくて女の子にも見える。



「あ、すみません」



自慢の微笑みで軽く頭を下げると、男の子の傍にいた色白の少女がポッと顔を朱に染めた。


少女にも笑いかけるとまた鼻歌を歌い出し、男の子の連れであろう変な色の髪をした少年と、長身男性の隣をすりぬける。


去り際に、背後からの視線が痛かったのは気のせいではないだろうが、そんなの無視して昼間のわりに薄ぐらい物陰に入る。



そして、誰もいないのを確認して手の中の物を広げた。

袋や角ばった入れ物がいくつか転がり落ちる。


ニヤリと笑み、中身をひろげると、



チン…チリーン……



金属音が辺りに響く。


満足げに笑みを深くし、



「ヘヘッ、大量大量…♪」



落としたお金を拾いあげ、愛しそうにキスをする。


そして、盗んだ財布にしまい懐に隠すと、

濃い桃色髪のフワッとはらい、豊かな乳を揺らして立ち上がった。


肩までかかる貝で作った長いピアスも揺れる。


そして、また鼻歌を歌いだし街へ戻って行った。