「明後日何かあるんですか？
ヒュネットの創国記念とか…」



「いえ…そんな大きな行事じゃないです。
あの…実は…え、と…今、あの教会は式典場も兼ねてやっていて…
明後日、結婚式があるんです…」



最高潮に顔を赤く染め、口角に力が入っているのか笑顔が引き攣っている。



「へぇ、結婚式ですかぁ！
それはそれはおめでたいですね！
アンさんはご出席されるんですか？」



「あの…ぇと…」



「見知らぬ私達が出席してもいいんでしょうか？」



「ひ、…ヒサノさん！！」



アンがいきなり大声を出した。

黙って聞いていたレオナとアランまでもが驚く。


ヒサノはパチクリと目を瞬いた。



「じ、実は…そ、その結婚式なんですけれども…わ、わわ私の結婚式なんです！」



アンは熟した林檎のように真っ赤だ。


傍に置いてあるカゴの中の林檎のように…



「キャー！おめでとうございます！！」



またヒサノがレオナの耳元で歓喜の声をあげた。


興奮しているのか腕と足をジタバタさせて軽く跳んでいる。



「あ、ありがとうございますっ！
あの、その私の結婚式でよければ招待しますけど…」



「本当ですかぁ！？」



ヒサノは指を組んで目を輝かせた。



「はい、では招待状書きますね！！」



どこから出したのか、アンは結婚式らしい紙とサインペンを出してスラスラとサインし始めた。


女性らしい整った字だ。



「…はい！では、これを明後日持ってきて下さい！」



そう言って、少し朱に染まった顔を綻ばせてヒサノに招待状を手渡した。


きちんと両手を添えてよろしくお願いしますと頭を下げながら。


礼儀正しいのがいやでも分かる。



「ありがとうございます。
明後日伺わせていただきますね。」



ヒサノも同じように招待状を受け取り、頭を下げる。