「わ、私はアン・リーガルと申します!
先程危ないところをこの方に助けてもらいました」



この方…レオナを見てもう一度頭を下げる。



「あ、そうだったんですか…。
それはよかったです」



ヒサノは巫女様スマイルを見せてこちらこそと頭を下げた。


だが、ヒサノが頭を下げたと同時に…



ぐうウゥゥゥッ………



…………数秒の沈黙。



「だ、誰だ?
今のオナラ俺じゃねーぞ?」


「わ、私も違いますよ!?」



匂いもしないのに鼻を撮んで空気を扇ぐレオナを見て、傍にいたアンは慌てて首を横に振る。


それなら、とレオナはアランを振り返った。


目が合うと疑っているのがばれたらしく、アランは不機嫌極まりない表情で眉を寄せた。



「僕もちっがーう!」


「アランでもない……、とすれば…?」



なら、残るは………


レオナは残りであるヒサノに視線を移す。


ヒサノは顔を真っ赤にして俯いていた。


どう見ても怪しいヒサノに皆嫌な視線を送る。


視線に耐えられなくなったのか、ヒサノはしばらくすると、そっと手を挙げて告白した。



「すみません…。
私です…、でも私…」


「ヒサノがオナラぁあ!?」


「マジカヨ?!」



ヒサノの言葉が途中、二人の男子によって遮られた。


話を切られて更に顔を赤くするヒサノ。



「ち、ちちち違いますよ!
い、今のは…お、オナラじゃなくて…おナ……」


「あ?聞こえねーよ」



聞き取ろうとレオナが耳を近づけてきた。


さらに赤くなるヒサノ。


そして、思い切ったのか、やけくそなのか、そのレオナの耳を睨みつけた。



「今のはお腹の音です!
お腹が減ったんですよ!!悪いですか?!」



いきなり声を張ったヒサノの声は、レオナの耳に結構なダメージを与えた。