しかし、この街になんの用事があるのだろうか。

商いの街だから何か買いたい物でもあったのか。

クレストは……相変わらず謎だ。



「……あいつ、何処行ったんだぁ…?」




















































ここは商いの街。

さすがに人が多くて、人を待つのにも一苦労。


適当にぶらついていたら目の前に美味しそうな団子屋があったもんだから、それは入るしかないでしょう。



「すんません、一つお願い出来ます?」


「あいよ!しかしお姉さん綺麗だなぁ。おまけにもう一つつけてやるからな!」


「あら、お上手やねぇ。調度良いですわー、連れがいるんやぁ」



覇気の良い男性に柔らかい笑みを向けて、上品な笑みを浮かべたまま団子の入った包みを受け取った。


店を去って、空を見上げる。

太陽は真上、お昼時だ。


江戸州文化の着物のせいで締め付けられている腹が、弱々しく悲鳴をあげた。



「……お腹、減ったわぁ…」



腹が減ると、自然と足取りも重くなる。

しかもあの暗い仕事の話となれば、更にめんどくさい。

靴…ではなく草履というものを引きずって目的地へ歩く。


ここは、裏道。

建物の裏のまた裏。



そのある一角に、彼はいた。


















「………あんた早いなぁ…クレスト」



そこには、やはり江戸州文化の着物を着た彼がいた。

着慣れていない、または見慣れていないせいかあまり似合っていない。

だらし無く建物に寄り掛かっている彼は、やはりいつものマフラーを巻いていた。

彼にはセンスというものがないのだろうか、それより暑くないのだろうか。



「………姐さん…」



彼がこちらを向いた瞬間、綺麗な緑色のピアスが大きく揺れた。



「久しぶりやねぇクレスト。元気やった?」


「元気元気、超元気。和葉の姐さんは元気だよな」


「ふふ、当たり前や」