それからクレストは、国王騎士やスノーリアと自分の関係を明らかにした。
最初から順を追って、じっくり詳しく、少々時間をかけて解りやすく説明してくれた。
クレストが言うには……、
スノーリアは名の知られている大貴族ダーレイン家の坊ちゃまで、クレストはそのダーレイン家当主の従者。
その当主というのが、それはそれは美しく麗しく儚げで気高く…とにかく綺麗な女性のようだ。
ダーレイン家は、元々武家であるということから、貴族を護る番人のような役割もあり、どんな勝手な行動をしようともとくに咎められることもない。
というのも、ダーレイン家に文句を付け、ダーレイン家に目を付けられることがあったら…御貴族方や王家もいろいろめんどくさいことになるらしいからだ。
ダーレイン家といえば武家、武家といえばダーレイン家。
国の中心部を護る彼らに逆らうことは、王族でも難しいみたいだ。
そんな大貴族様の親族にスノーリアがいたとは。
「……なんとなくわかった。とにかくスノーリアがスゲェ金持ちだってことが」
「いや、ただの貴族だ」
「何またすました顔で言ってんだよ。俺は田舎者だからわかんねぇけどスゲェんだろ?ダーレイン家って」
普通だろう、と顔に書いてありそうなスノーリアに苦笑いした。
スノーリアはやっぱりどこか抜けている。いや抜けているというわけでなく、ただの天然なのかどうなのか。
「なーに言ってんスか〜坊ちゃーん。
……ダーレイン家はそれは俺も驚くくらい戦闘に慣れてるやつが多いんだ。本家に入れば、その辺歩いてるメイドや執事や庭師や料理人も並の兵士より強いよ。だから本家は王都の入場門付近に配置されてあるんだ。……いつ襲撃が来ても対処出来るようにね」
「ふーん…、とにかく凄いんだねダーレイン家って!さっすがスノーリアさんだね!かっこいいねスノーリアさん!」
スノーリアに憧れているらしいアランは瞳をキラキラと輝かせた。
貴族、という響きからもう既にスノーリアは、田舎者三人組からしては別世界の人物である。



