ゴッドネス・ティア

「……で、そんな凄い奴らに俺達は護られるわけなんだな。………それなら最初から国王騎士が石取ってくりゃいいのによ」



ふん、と気に入にらなげに鼻を鳴らしてだらし無くソファにもたれ掛かった。

そんなレオナを見遣り、ヒサノも小さく首を縦に振った。



「そんなこと言ったってなぁ…。まあそう思う奴は少なくはないと思うが…なんせあの教皇ファン様の御命令だ。誰も首を横になんて振れないさ」



あはは、と爽やかな笑みを浮かべるクレストの口からあの名前が出た。

そう、我等がファン様。

久しぶりのその響きにヒサノの瞳が煌めいた、気がした。



「ファン様って……そんなスゲェ人なんだな…」


「凄いも何も、国王と肩を並べる程の権力を持つからね。権力としては国王の方が上だが、……その国王でも教皇の怒りを買ったらおしまいさ。国王と教皇の関係は凄く複雑なんだよなー」


「……………」



レオナの顔は、青くなっていた。
目の前でまだクレストが豆知識のようなものを言っているが、レオナの耳には蚊の音ほども届かない。


(……やっべ。俺かなり生意気な態度とってた気がする…。教皇様ってそんなに凄いんだっけ?うん、聞く限りかなり凄い人らしいけど……どうしよう、俺どうしよう…どうしようもない気がするけどどうにかしないといけない気がする…)


レオナは一人頭を抱え、過去の過ちを悔いているようだった。

自分でも訳のわからない言葉でぐるぐると頭の中で自問自答を繰り返す。



「まあとにかく…、お国は君達に死んでもらったりしちゃ困るみたいだからさ、しっかり国王騎士達に護られててね。あ、ちなみにリア坊ちゃんは護られる側じゃないよ、護る側だからね。しっかりして下さいよー。俺はなんも出来ないっスから」


「貴様に言われずともわかっている。どうせ貴様は傍観者か何かだろう」


「当ったりー!俺は一切手出し無用と言われてるんで、護ったり出来ませんよ。そのかわり坊ちゃんに愛をこめて応援を…」


「遠慮する。貴様はその辺りの情報を集めてくれれば十分だ」