薄暗くて、汚くて、そんな世界。


それに比べちゃこんな世界綺麗なもんだ。





俺は物心ついたときからもうこの裏世界にいたさ。

表世界にも最近よく顔を出すようにもなったが、……やっぱりちょっと慣れねぇな。



ちなみに表世界での俺の仕事は、立派な御貴族様の従者だったりするんだよね。

なかなか俺も立派だろ?


しかもあの高級貴族の当主の、だ。

その方がなかなか美人でさ、俺ってば惚れちまったもんね。


いやー愛してますよベル嬢!





そんな輝かしい表世界での俺も、裏世界へ行けば小汚い鼠だ。


何故か昔から俺のところには自然といろんな情報が集まってくるんだ。

特別な体質なんだろうか……まあ何不自由なく仕事は出来るさ。



まあ、どうしても欲しい情報なんかがあったりすると自ら盗みに行くけど。


欲しい情報のためなら、尊い命だってその辺の小石みたいに蹴飛ばすことだって出来るさ。






罪悪感なんて、ない。


裏世界で生きてりゃいつ死んだっておかしくねぇ。

殺した奴等のことなんて一々覚えてねぇし、つかめんどくせぇ。


いつかは皆、死ぬ運命だ。














そういう暗くて汚い世界で、血を浴び、傷付けて、刺して、叫んで、嘲笑って……


そんな世界で生きていくのが、俺にはお似合いさ。













嗚呼、数年前の…俺が生きて来た中で一番綺麗だったころの自分が眩しいよ。


それより、俺の隣で笑う彼女の方がまだ光輝いていたけど。



光と闇は……決して相入れない物だ。


彼女と俺は、離れてよかったんだ。


これで、よかったんだんだよな?



そのために、俺は君とサヨナラをしたんだ。










だけど、俺さ、やっぱり。



なあ…………























――……会いたいよ。