窓から漏れる温かい光。
首元まですっぽり被った毛布から出ているプラチナブロンドの髪が、優しい太陽の光に照らされキラキラとまばゆい光を放っていた。
その当人はぐっすりと御就寝のようで、健やかな寝息を起てて寝返りをうった。
起きる気配など微塵もない。
そして、整った…まだあどけなさが残る少女の寝顔があらわになった瞬間……ただ、目を奪われた。
まるで磨きあげられた金貨のように輝く髪と共に、きめ細やかな肌が太陽に照らされ、…とても綺麗だった。
金貨、などという比喩を使う自分がなんだかとても汚れているように見えた。
もっと良い例えは無かったのだろうか。……しかし考えても出てこなさそうなので考えるのは止しておいた。
そう、ただ…ただ綺麗だったんだ。
脳裏を過ぎる人影に似て、自分とは別世界にいる人物だと、思い知らされる瞬間だ。
そう、その瞬間……いつも思うのは…
「…………触りたい」
もっと近くに、…そうもっと。
その髪を掬って、太陽の光に晒さぬよう。
太陽は眩しすぎるから。
だからもっと、こっちへ引き寄せて…闇に溶けさせてしまおうか。
君が別世界の人物なら……こちらの世界に引きずり込めばいい。
……………なのに、
――……何故、あの時そう出来なかったんだろうか。



