「……どういうことだ?」



レオナの発言に眉をひそめるのはリンはなくスノーリア。

ありえない展開に珍しく目を見開く。



そんな彼をレオナは一瞥してすぐに視線をリンへ戻した。






「……俺がこいつとの同行を認めた理由、知ってるか?

…………こいつが盗っ人だからだよ」



そこで初めて彼女の眉がピクリと動いた気がした。

へらへらとした笑みをまた浮かべる。

レオナは更に口を開いた。




「こいつはアランのリュックから財布を盗み出した程の腕だ。
しかも口を開いたら金、金、金………
よく観察してみれば擦れ違う者達の懐へいつも目がいっている。

……どーせ余裕かましてスーの懐でも狙ってたんだろ」


「……へー、アタシがスーって兄ちゃんの懐にある涙の石を盗んだって言いたいのかい…。
アタシを仲間に加えたのもこうなった時のため…みたいな?」



へらへらと笑みを浮かべる口元から色っぽい声が漏れる。

その表情は論争をしていたときよりも楽しそうだ。






「………ではリンが涙の石を今持っているというのか…?」



目を見開いたまま驚きで口までも塞がらないスノーリア。

だがあの激戦、あの数分でリンが涙の石を盗めた可能性というのは極少ない。


盗めてもリンが欲しいものは金だ、石ではない。



……だが、レオナの横顔を見ると……何故か自信に満ち溢れている。


どうしてそこまで核心が持てる…?