ゴッドネス・ティア

短気な彼女にしてはこの三日、よく頑張ったと思う。


だんだんと激しくなっていく貧乏揺すりと深々とした眉間のシワがそろそろ彼女の限界をあらわしていた。



そして、限界に到達。




「………どるぁあッ!!!」



バサバサバサーーーッ!



なんと、椅子を蹴り倒し、鬼のような形相で持っている分厚い本を軽々と本の山に投げ捨てた。


本の山は、それは美しく雪崩のように崩れ、机から零れ落ちる。


バサバサと紙の音とサロナの息切れが書斎に虚しく響き渡った。



せっかく地道に読み進めていた本が大惨事となり、自業自得なのだが、彼女は肩で息をしながらがっくりと肩を落とした。


少し暴れたせいか、頭がスッキリとし、もう一度読み返そうと先程投げ捨ててしまった本を散らかった本の山から探そうと半端ない量の山に立ちはだかる。


まず手前の薄い革の本と退け、下の本を机に上げ、次々と同じように本を漁りだした。



……だが、探しても探しても、目的の本は出てこない。

実際は探し出して10分ほどしか経っていないのだが、長い間この部屋で過ごし、ストレスの塊になっているサロナにとっては一時間にも感じられた。


本が出てこない焦りとイライラによって、ぐんぐんとサロナのお怒りゲージはうなぎ登りに急上昇していくのがわかる。


おまけにこめかみには再び青筋が浮かび、頬はこれでもかという程引きつり、今彼女を見た者があればあまりの恐ろしさに腰を抜かすであろう形相になっている。


黙っていればかわいらしいお人形のような彼女なのだが、生憎彼女はそんな性格ゆえにそうとらえられることはない。


椅子の上で胡座をかき、棒付きキャンディーを片手に舌を出しているような人形がこの世界のどこにいるのだろうか。